ブログの記念すべき第1回は、試験的に私K.Tが担当することになりました。今回以降、他のメンバーが気軽に普段考えていることなどを呟いてもらえるように、皆様にも気軽に読んでもらえるように、あまり頑張らずに書こうと思います(笑)。
私は旅が好きなのですが、今回は手っ取り早く東京へ。関西圏の人達はあまり身近ではないため、その後どうなっているのかな?と思っている人も居るんじゃないかなーという、豊洲市場です。
築地市場は1935年から2018年まで83年間にわたって使用された公設の卸売市場ですが、老朽化等の問題から移転することになり、2018年から移転先として新たにオープンしたのが豊洲市場です。築地市場が閉場すると知った時は残念でしたが、次にオープンする豊洲市場に期待。とはいうものの、コロナ等もあり、なかなか行けないままになっていました。新しい市場はどんな感じ?おいしいお寿司食べたい♪いざ、豊洲市場!
まずはゆりかもめの「市場前」駅で降りて、驚きました。ピカピカの新しい街並み!私が勝手にイメージしている市場感はゼロ。外観では何の建物か全然わからない(実際には改札出てすぐ案内があるので迷ったりはしません)。豊洲市場は温度管理や衛生面の管理ができる閉鎖型の施設になっているため、外から「市場っぽい」部分は全く見えず、「何かの研究施設かしら?」というシャレオツでアカデミックな感じすらします。
まずはお寿司よねー。7街区管理施設棟へ向かいました。飲食店舗は管理施設棟と、6街区の水産仲卸売場棟の中にあるよ。
駅の改札が地上2階の位置にあり、そこから各棟へは空中通路で各棟の2階や3階に繋がっています。
空中通路は屋根だけ掛かったタイプ、各棟と繋がっているとはいえ、機能的には別の建築物だから、まあ一の建築物とは言えないよね、とかブツブツ思いながら長い通路を歩く(笑)。
管理施設棟に入るとそこは3階飲食店街。おおー。思わず写真も少しピンボケに(すみません)。回らない寿司久しぶり。炙りのお寿司うまかー。
美味い。確かに美味いし、ネタは新鮮なんだろう。何と言っても市場場内にあるお寿司屋さんなのだから!なのに、「市場内」ということをふとした瞬間に忘れてしまうロケーション。なんか普通の飲食店街みたいだな。
水産卸売場棟を覗いてみよう。
そのまま連絡ブリッジを進むと見学者通路は水産卸売場棟の2階へ繋がります。もうこの時間にはせり等は終わっているのですが、この見学者通路から市場の様子をガラス越しに見ることができます。なんだか空港の中のような通路を進むと・・
ここで大体分かってきたのですが、どこの棟も、主要な用途である「卸売場」「仲卸売場」の機能は1階にあって、一般の見学者は駅からずっと2~3階の通路を進む。つまり完全に分離されているため、市場の雰囲気は上階からガラス越しに見るということしかできないのでした。この距離感は・・そう、工場見学みたい!そう思うと、この通路といい、いろんなものが腑に落ちました。築地での距離感を知っているとなんだか近くて遠い。
せりは終わっているのですが、運ばれるのを待っているのか、冷凍マグロが置いてありました。市場感を出すための展示のよう。
後で調べて分かったのですが、卸売場というのは、卸売業者が生産者から仕入れを行う場、仲卸売場というのは仲卸業者が卸売業者から仕入れを行う場のことで、仲卸業者が小売店や飲食店に卸して、私たち一般の消費者に物が流通しているのですね(大雑把な説明ですが)。なので豊洲などの卸売市場は元々プロの人達の場であって、一般客が見学したり入り込んだりする所ではないのでした。知らなかった。
築地の場合は平場の市場だったので立ち入り禁止区域に入る観光客を防ぎきれなかったのかもしれませんし、黙認しているところもあったようですが、確かにターレがビュンビュン走り回る危険なエリアでした。
でも人は誰しも「入っちゃダメ!」と言われると入りたくなるし、プロの人達のお仕事場に入れるのは嬉しいもの。こんな感じでフロアで完全に切り離されてしまうと「やっぱり築地では私達うろちょろして邪魔だったんだなー」と寂しい。自業自得やね(笑)。
続いて6街区水産仲卸売場棟へ。
見学ギャラリーにターレが展示されていました。築地ではターレと一体になって走り回るおじさん達の様を見て、ちょっとケンタウルスが脳裏に浮かんでいました。人と乗り物とのこの一体感!
4階にある魚がし横丁は一般の人も利用できます。お魚などは売っていませんが、乾物や道具類、卵焼きなど約70店舗があります。
3階の見学ギャラリーからは、細い隙間から1階の仲卸売場の様子が見えます。あそこはプロの方達のお仕事場なので、見学者は行けません。ううう…
諦めきれず、1階に降りてみましたが、威圧的なゲートがあり、守衛さんみたいな人がいるため、小心者は進めませんでした(笑)。
青果棟にも行ってみました。卸売場、仲卸売場の様子が2階の見学者通路から見られます。
はい!ここでふと疑問が。この広大な卸売場、面積区画はどうなっているのだろう。
ここは、耐火要件はあるのかどうか…卸売市場って、法別表第1(四)の「マーケット」に該当するのでしょうか。建築基準法に出てくる「マーケット」って現代の世ではどのようなものが該当するのか、少し分からないなと最近思っていたところなのですが、これは「マーケット」?(確か英語表記は「Toyosu Market」だったけど(笑))違ったらすみません。でも小売業ではないが物品販売業にはあたるだろうから「物品販売業を営む店舗」で良いのかも。
別表第1(四)に該当するとした場合、床面積が3000㎡以上あれば、耐火建築物か避難時対策建築物(1時間以上)にしなければならない。
耐火建築物だった場合、1500㎡以内ごとに防火区画が必要。また避難時対策建築物だった場合、1000㎡以内ごとに防火区画が必要。天井面は見学通路からよく見えるのですが、スプリンクラー設備は無さそうに見える…。この広大な空間、パッと見ですが3000㎡以上あるように見えるけどなぁ。見える範囲の柱にもシャッターのガイドレール的なものは見えません。
1500㎡区画の場合、劇場、映画館、体育館、工場などの用途でやむを得ない場合は区画が免除されます。でも通常「やむを得ない」とは工場のクレーン等があって物理的に無理、という場合を指すことが多いです。となると、令第112条6項の免除だろうか。体育館、工場などの建築物の部分で、天井、壁の仕上げを準不燃材料でしたもの…。
令112条1項の防火区画は、用途上やむを得ない場合にしか1500㎡ごとの区画は免除されないのですが、用途上耐火要件が引き上げられ、区画する規模も500㎡もしくは1000㎡ごととなる建築物について、6項で免除できるとしている用途の場合、内装の不燃性能を上げれば区画が免除されます。燃えやすいものが多かったり、人をたくさん収容する建築物は燃え広がりにくくするために区画を細かくしないといけませんが、中の仕上げをグレードアップさせれば免除できるということですね。さて、卸売場は6項で免除できるとしている用途に該当すると言えるのかどうか。法26条の防火壁の規定では、卸売市場の上家は火災の発生のおそれが少ない用途であるとして、防火壁は不要と言えます。そこからいくと、卸売場も防火区画が免除できる用途にしてもいいような気もしますが…条文が違うし、書き方も違うので何とも言えません。ここで私たちの指南書も確認してみた。じゃーん。黄緑カラーのアイツです(ちなみに建基法はバイブルと呼ぶ)。「防火避難規定」には令112条1項で取り扱う用途の例に、「卸売場、仲買売場等の売場」も載っていました。項が違うし断言できませんが、ということは令112条第6項でも免除できる可能性があるかも?
…豊洲市場について見た目判断の妄想はここが限界かもです(笑)。正解は分かりませんが、なんらかの免除がされているのだろうなと思いました。
建基法取扱者あるあるですが、大きな建築物の中に入ると、排煙の垂壁などが目に付き、なるほどここで切れてるのか、などと呟き一人妄想の世界に入っている人が、あなたの近くにも居るやもしれません。そしてここにも(ニヤリ)。
実際、青果棟の卸売場を見てからここまで、考察(妄想)が行われていたのかと思うと、自分でもちょっとおかしい。
最後にかつての築地市場だった所に行ってみました。がー―――――ん!なんも無い!完全に撤去済みでした(涙)。今、場外の市場はどうなっているのだろう?
わー賑わってる~。というより、場外は元々一般のお客さんを対象にしている市場なので、変わらず普通に営業しているのでした。水産や青果などを扱っている所もあるようです。
なんというか、「ここは日本なの?」というアジア感満載な楽しい雰囲気で、想像以上に賑わっていました。このごちゃごちゃして時が止まっているような感じ、好きだな。なんでも綺麗にすればいいってもんじゃないというのが分かる。でも衛生や安全というのも大事なのでしょう。うん、それも大事。なかなか両立させるのは難しいなと両市場を見て思いました。それにしても市場というのは人が美味しいものを食べたり買ったりするのに対する強いエネルギーを感じる楽しい場所ですね。
少し前に下関の唐戸市場に行ったことがあるのですが、そこは想像通りの市場で、中で一般の人が普通に買うことができ、外では思い思いの場所でみんな買ってきたものを食べていました。中の市場はめちゃくちゃ活気がありました。いろいろ買って美味しかった。
今になって調べてみると、唐戸市場も卸売市場ではあるのですが、全国でも珍しい一般客に開かれた卸売市場なのだそうです。
豊洲市場も市場と一般客がもう少し近づける工夫があればいいのになぁと思いながら、豊洲のこれからに期待して、今回の報告を終わります。
長々と読んでくださり、ありがとうございました。(K.T)