010牛久大仏ほか(茨城県)


今回訪れたのは、茨城県です。関西の人間にとってはなかなか行く機会がない所なので、この機会にいろいろまとめて廻ってきました。

まず訪れたのは牛久大仏です。

私にとっては大仏と言えば奈良の東大寺。なんとなく大仏は奈良のが一番大きいと思っていたのですが、断トツにデカい大仏様が茨城の地にいらっしゃいました。

えっ…。めちゃめちゃデカくない?

圧巻の大きさです。高さは120mだそうです。

奈良の大仏と比較するまでもない位の圧倒的な身長差でした。パンフレットによると奈良の大仏様は掌に乗ってしまう手乗りサイズだそうです。

120mというと通天閣よりも高い(通天閣は108m)。そして自由の女神って意外と小さいなと驚きです。

胸元の展望台に登れるというので、早速登ってみます。

・・展望台?? 「4・5F 霊鷲山の間」って・・??

ということは、牛久大仏様は5階建ての「建築物」なのかな。

中に入れる像・・といえば、万博記念公園にある太陽の塔を思い出します。

1970年の大阪万博には仮設建築物として登場し、閉幕後、工作物に変更され、塔の内部は公開されることはなかったのですが、2015年に塔の内部をミュージアムとして再生することが決まり、耐震改修と用途変更をして、現在は建築物として一般公開されています。

建基法の取り扱い上、なかなか珍しい建築物なんじゃないかと勝手に思っています。

牛久大仏様の胎内の拝観は、「光の世界」からスタートします。

まず中に入ると入口の扉が閉まり、真っ暗になります。

予想外の展開でした(笑)。神秘的な浄土の世界へ導かれます・・

2階には牛久大仏の工法や建築過程のパネル展示などがありました。

そうそう、こういう展示いい。なかなか興味深い!

大仏様の工期は1988年(昭和63年)~1993年(平成5年)だそうです。

この大きさからして法施行前じゃないよねと思っていましたが、建築基準法が適用される年代ですね。

大仏像は、超高層ビルに多く採用されているカーテンウォール工法により施工されていました。

設計・施工を行った川田工業さんのHPにいろいろな報告書が掲載されてて、興味深く読みました。

構造は、メインフレームは超高層ビルの鉄骨に使われる四面ボックス柱、大梁はビルトH、ブレースはH形鋼などで構成され、ブレース付きラーメン構造とのことでした。1

設計面においては、建築基準法により高さ60mを超える超高層建築物として扱われており、形状が極めて複雑であることと、仏像とはいえ中に人が出入りする高層建築物であることにより、㈶日本建築センターにおいて構造設計について評定を受けた後、建築基準法第38条などに基づく建設大臣認定を受けているのだそうです。2

本来、日本は地震による水平力が支配的ですが、この如来像は複雑な形状をした青銅鋳物で囲まれ受風面積が大きく、しかも如来像の中は主鉄骨で構成された空洞で、一般の超高層ビルと比べると自重が軽く、地震荷重よりも風荷重の方が上回っているのだそうです。3

できていく過程の写真が展示されていました。おもしろいですね。

右の写真は展示されていた頭部の鉄骨模型です。

緑の鉄骨が主架構、白色の鉄骨がお顔の形に合わせた下地鉄骨です。

この鉄骨のお姿、すごい既視感があります。

そう、何年か前にタイに行った時にたまたま築造中の結構デカい像を見たのですが、まさしくこれにそっくりでした。街で見た時は、何の大魔神が造られるのかとビックリしました。

↓↓

仏教界での仏像の基本仕様なんでしょうか。タイはデカい仏像の本場っぽいですね。知らんけど。

さてさてそれでは5階の展望室へ。

展望室はそれほど広くなく、外から見た時に見えた胸元の細いスリットの小窓から外が展望できました。

3階の部分では外に出ることができ、蓮華座の周りを見ることができました。

あっ、赤色灯を発見。これはおそらく非常用進入口ですよね。

頭の上には避雷針もついています。高さが20mを超えるからでしょうが、これだけの高さになると落雷対策は結構大事と思われます。

HPによると、仏像完成時には仏像本体鉄骨を伝わり地盤に接地すると考えられ、避雷針は設置されていなかったようですが、落雷時の大きな電流で内部の電子機器に支障が生じるため、落雷自体を抑制する落雷抑制型避雷針があとで設置されたそうです。(通常の避雷針は誘導針)_1

うーん、いろいろとおもしろかった~。仏像を建築物として見学するのは浄土真宗の本意ではないのかもしれませんが、なかなか楽しかったです。まあでも単純に、圧倒的な大きさに衝撃を受けました。

そして次に向かったのは、前から一度行ってみたかった所!

じゃーーーーん。国土地理院です。地図とか結構好きなんで、なぜか憧れの場所でした(笑)。

この庁舎は一般の人が入れる場所は限られている普通のお仕事の場なので、同じ敷地内で隣に建っている「地図と測量の科学館」に行ってきました。

建物の外の「地球ひろば」には日本列島球体模型があります。高度約300㎞の人工衛星から見下ろした地表に相当するもので、地球の丸さや領域の広さを体感できるのです。

球体の大阪のとこまで登ってみて、想像以上の地球の丸さを実感。沖縄遠いなーとか私のお家はココ!とか盛り上がる。

建物内にも、いろんなところに地図の展示が!

1階の床に日本地図が描かれている「日本列島空中散歩マップ」は、赤青メガネで見ると地形が立体的に見え、日本海溝の恐ろしい深さに「うわーー落ちるーー」とかはしゃいでました(笑)。

2階の常設展示室には、地図や測量に関する歴史、原理や仕組み、新しい技術などが展示されていて、とても楽しかったです。

私は実はこれまでにも国土地理院のHPを割とよく利用していました。

昔の航空写真を閲覧できるし、ある地域の白地図が欲しいけど、自治体のHPから白地図が取れなくて困った時などは、国土地理院の地図の閲覧サービスから取ったりしていたのでした。

今回2階の展示を見ている時に、ネットでいつも使っている地理院地図ではなくて、「地理院地図Vector」というのを使うと、もっと便利にいろいろできることが分かりました。

いつも見ていた「地理院地図」だと、このような色付きの地図しか取れなかったのですが、

(ちなみに地図は大阪城のあたり↓)

白地図にかえてみたり、

水域だけ色を塗ったり、いろいろ変えられます。

もう知ってる人も居るかもしれないですが、ご存知ない方もよかったら活用してみてください。ネットで検索すれば、すぐに出てきますよ。

売店には地図好きにはたまらないお土産品や地図や本がたくさんありました。

いろいろ欲しくなりましたが、人気の高かったメモ帳を買うに留めました(笑)。

このメモ帳は、実際の地形図の裏側をメモ帳としたものです。知ってる場所の地形図が入ってると嬉しいです。値段もうれしい100円です。

国土地理院では思いのほか充実の時間を過ごし、地図愛が更に深まりました。

最後に訪れたのは、同じくつくば市にあるJAXA筑波宇宙センターです。

折しも世間では月面探査機SLIMが話題になっていましたね。

私はそれほど宇宙に関心が高いわけではないですが、去年、偶然にもスターリンク衛星を目撃してしまいました。衛星と分からなくて、友達と一緒に「銀河鉄道999や!」と大興奮しました。(世代のバレる大興奮)

過去に種子島の宇宙センターの施設見学にも行って、いつかロケットの打ち上げを見てみたいなーと憧れています。

今回は時間があまり無くて、自由に見学できるスペースドームという展示館だけ見学しました。

これまで打ち上げてきた人工衛星や、ロケット、国際宇宙ステーションなどの説明や模型の展示がたくさんあって、とてもおもしろかったです。

つくば市には、他にもコアな研究をしている施設がいっぱいあるようなので、また訪ねてみたいなぁと思いました。

牛久大仏の建設、地図と測量の苦労の歴史、宇宙をいろんなものを送り込む科学技術の進歩、関わる人々のこれまでの努力と試行錯誤の歴史を実感し、人間はすごいなーと思いました。

私もなんだか朝より賢くなった気分(笑)!とても楽しい充実の旅でした。(K.T)

(参考文献)

  1. 川田技報 Vol.36 2017 牛久大仏を見守る 建築事業部の取り組みについて ↩︎
  2. 川田技報 Vol.8/JAN.,1989東京本願寺「牛久浄苑」阿弥陀如来像の構造設計と風洞実験 ↩︎
  3. 川田技報 Vol.7/JAN.,1988 世界一高い阿弥陀如来像の建設計画と基本設計 ↩︎