012うだつの町並み(徳島県美馬市脇町)


3回目の建基法マニア探訪です。

今回は、徳島県美馬市脇町南町にある、

「うだつの町並み(重要伝統的建造物群保存地区)」 

に行ってきました!

こちらには、本瓦葺・大壁造の重厚な構えや、装飾的にも見える「うだつ」などに特色がみられる江戸時代中期〜昭和時代初期の85棟の伝統的建造物が建ち並んでいます。

脇町の「うだつ」は、二階の外壁面から突き出した漆喰塗りの防火用の袖壁で、火よけ壁とも呼ばれており延焼防止の役目を果たしていたものだそうです。

現在でいう、建築基準法施行令第109条第2項の防火設備とみなされる「そで壁」のようなもので、江戸時代の建築における防火・減災の工夫ですね!

現代の建築基準法は、時代の流れ(SDGs・脱炭素化・省エネ・再エネ等々)に応じて新たに制定、或いは改正される規定もたくさんありますが、遙か江戸の頃から引き継がれている先人の知恵がベースになっている規定もあるんだなーと感慨深く感じました。

<参考URL>

歴史的町並みの保存・整備・活用『全国伝統的建造物群保存地区協議会(伝建協)』

美馬市脇町南町 伝建地区詳細

https://www.denken.gr.jp/archive/mima-wakimachiminamimachi/index.html

【ショートコラム うだつの歴史】・・・

「うだつ」は、当初、屋根に突き出していて、防火壁と言うよりも、屋根が強風で飛んだりするのを防ぐ防風の意味合いや、また装飾的な意味合いが強かったそうです。

Wikipedia「うだつ」より引用

その後、うだつの下端が、平側の 1 階屋根と 2 階屋根の間の部分にまで張り出すようにな り、その壁部分が小さい防火壁として独立し、これも「うだつ」と呼ぶようになったそうで、町屋 が隣り合い連続して建てられている場合に、隣家からの火事が燃え移るのを防ぐための防火 壁として造られていったとのことです。

こうした延焼防止の役割のあった うだつは、江戸時代中期頃には、装飾的な意味に重きが 置かれるようになり、自己の財力を誇示するための手段として、上方を中心に商家の屋根上に は競って立派なうだつが上げられたそうです。

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この日はあいにくの雨だったのですが、観光客が少なく、ゆっくり見学できました。

うだつのほかに、「虫籠窓(むしこまど)」という開口部も印象的でした。

この時代の建物の装飾には、単に飾るだけでなくそれぞれに意味があって、快適に生活するための知恵と工夫が盛り込まれていました。

町並みをぼんやり見ていたら「長屋」を連想し、ふと「長屋建築規則」1を思い出しました。

長屋建築規則は、明治19年5月14日に大阪府から布達されたことからスタートしていますが、この規則の中にある「敷地内通路幅員」の規定は、今も「大阪府建築基準法施行条例」の第6条に残されています。

こちらの規定も、先ほどの「うだつ」と同様に、昔の知恵やルールが引き継がれ、現行法に規定されてるんだなーと改めて思いました。

  1. 大阪建築法制100周年記念誌編集委員会 「建築のルール・大阪100年の歩み」 より ↩︎

さてさて、私にも立派なうだつを上げれる日がくるのでしょうか・・・ 

(M.K)