岐阜県の飛騨金山という所の「筋骨(きんこつ)めぐり」に行ってきました。
「筋骨」ってなんだかご存知でしょうか。
筋骨とは、人間の体の筋(すじ)と骨(ほね)が複雑にからみ合っていることを例えて、複雑にからみ合った狭い路地のことを岐阜県飛騨地方でこう呼んでいます。
もともとは地図に赤線で書かれた国が所有する道で(つまり里道のことですね)、現在は金山は下呂市に合併されたことから市の所有する道となっています。
街を歩いてみますと、表の街道は人や車が往来する宿場町らしい雰囲気ですが・・・
実はここから裏手へ延びる細い路地がたくさんあり、裏へ廻ると民家の隙間や裏の川沿いに筋骨が張り巡らされ、今も住民が行き交う生活道路として活用され、公の道であることから、誰でも通って良い所とされています。
(↓↓こういう隙間から筋骨めぐりの世界が始まる)
知らなかったら「え、そんなとこ勝手に入っていいの?!」と躊躇してしまいますが、下呂市ではこの迷路のように複雑な道の面白さを楽しむ「筋骨めぐり」をむしろ観光資源として考えているようです。
案内MAPも作られており、下呂市のサイトでは観光案内にも紹介されています。
飛騨金山駅で散策マップも手に入れました。いざ、謎の筋骨の世界へ。
早速衝撃の光景が目に入りました。
なんだありゃ。フツーーの顔して川の上に建つ建築物(笑)
そしてピンクの建物の左側の細い道が筋骨です。あの隙間も通っていい道です。
ここ通っていいのかな?(いいんです)
ババーーーン。メインキャラクターっぽいのが登場しました。
散策マップによると、「ハウルの動く城」だそうです。言われてみれば…(笑)
ハウルの動く城のような、継ぎ足し継ぎ足し感がグッと来る建築物です(笑)!
横からのショットも。あっ、これはハウルの動く城が川をまたいでるところですよ~。
しばらく川沿いを歩くと、またまた登場しました。
もはや川の上の空間の有効活用ですね。
私の想像ですが、街道の表側はお客様などが利用する空間、裏側は地元の人たちが生活の場として利用しているのかもしれません。
裏側の筋骨沿いには地下から清水が湧き出る場所や、洗い場などもありました。
写真の川も、よく見ると水がめちゃくちゃ綺麗でした。
建物横の細い隙間(道)をすり抜けていきます。
なんかだんだん楽しくなってきました!次は何がでてくるのか、期待してしまう(笑)。
ついに繋いでしまいましたかー。そうですよね、裏のお家と行き来できると便利ですもんね。
わかるわかる。
歩いていると、このような表示をあちこちで見かけました。占用許可を取って造ったもののようです。
日付は少し古いですが、でも普通考えて、一旦許可して造ったものを後から不許可にすることは考えにくいので、まあ大丈夫なんでしょう。
ぶらぶら歩いていると、銭湯っぽい建物に行き当たりました。
昭和63年まで営業していた銭湯で、男湯のみ自由に見学できるようになっています。
なかなか楽しい街歩きでした。
私の中の常識が覆されるというか・・・
最初の頃は二度見したこのような光景(↑)にも、もはや驚きはない(笑)。
敷地の概念がよく分からなくなってきて、いやー、もうそんな細かいことこだわらなくてもいいんじゃないかと思えてしまったり。
街中に張り巡らされた筋骨がずっと残っているのは、それらが本当に生活に密着した空間で、当時の県や現在の市の人達も理解して大切に残そうと思ってくれている、ということかと思いました。
また、このような街の状況を近隣同士で認めて、しかも観光で見知らぬ人が路地を通ることも許容してくれているなんて、もめている地域では絶対にできないだろうな~と考えると、この昭和の香りが残るラビリンスは、街が平和な証かなと思えました。
散策マップには、筋骨以外にも街のいろんな情報が書き込まれており、
近くを流れる馬瀬川のところに「最恐の階段」と書かれているのが目に留まりました。
「最恐」??
そのような言葉があるのを初めて知ったのですが、何が恐いのか気になって行ってみました。恐いって言っても階段だし、蹴上げとか踏面とかの寸法の関係かな?
橋の近くまで来ると、想像を上回る階段が見えてきました。
なんだかエッシャーの騙し絵を3Dで見ているような不思議な光景(笑)
水平感覚が変というか、なんかあの階段だけ空間がひずんでませんか。
確かにこれは「最恐」だわ。
最後はこの街にある造り酒屋「奥飛騨酒造」へ。
路地裏に流れる川もあんなに水が奇麗だったので、期待して「初緑」(はつみどり)というお酒を買って帰りました。
後日いただきましたが、夏らしく、爽やかで飲みやすく、でも旨味があって、とても美味しいお酒でした。金山よい街。満足。
(K.T)