暑いのは苦手です。なので自分から行こうとは思わなかったのですが、家族旅行でタイに行ってきました。日本は春のはじめごろ。暖かくなってきたなぁと思ったら、グッと冷えたりする頃です。雨が降らない、最も暑い時期に入ったところでした。今回は家族旅行なので、行き先はお任せ。事前に調べていないぶん、行く先々で発見があって楽しいものです。
ということで気になった仏塔についてつぶやいてみようと思います。なお、国外なので建築基準法は適用されません。
まず訪れたのは、首都バンコクから北に約80㎞にある旧都アユタヤ。私的には、少しだけ予備知識のあるワット・マハタートです。木の根に埋もれた仏像の顔、見たことありませんか?


ここは遺跡です。アユタヤ初期の14世紀に創建された寺院で、メインの仏塔は崩れているのですが、ところどころに小さめの塔が残っています。写真の奥に小さな仏像のようなものがありますが、他のもほとんど頭がありません。先ほどの木の根に埋もれた仏さまもこの1つと考えられます。これらは、18世紀に他国に侵略された際に破壊されたものだといいます。いきなり血なまぐさいです。手始めの塔はこんな感じで。と、立ち去り際に看板を見かけました。

タイ語、英語は部位名を示しているのに対し、禁止事項は日本語です。多くの日本人が自分の顔を置いちゃってるんですかね。すこし悲しいです。
次は、ワット・プラシーサンペットです。こちらの仏塔はアユタヤ中期の15世紀につくられたもので、王族の墓だそうです。かなり立派な塔が3つ並んでいます。


お墓なので、遺骨や遺品が納められていたのでしょう。階段はかなり急で、メンテナンス用ですね。今はもう何も納められていない空洞があるかもしれませんが、これくらいなら工作物でいいですよね?高さは4mを優に超え、40mほどありますが、すべてレンガの組積造で、当時は石膏で覆われていたそうです。真っ白できれいだったでしょうね。
他に、涅槃仏(ねはんぶつ:お釈迦さまが亡くなる直前の姿)も観に行きました。ワット・ロカヤスターラーム。一部にトウモロコシ型の仏塔が残っていますが、他は基壇のみの、公園のような雰囲気です。仏さまは最近改修されたそうで、周囲の遺跡感の強さで、より強くペンキ感がします。これも仏塔と同じく、レンガ組積造で、石膏で覆い、仕上げをするようです。日本で大仏というと鋳銅造で中は空洞ですが、タイの仏さまたちは、ぎっしり詰まってそうです。


でも、アユタヤの旅行的な第一の目的はゾウに乗ることでした。

次にバンコクの仏塔を巡ります。バンコクは、アユタヤ王朝が滅んだあとの新王朝が首都とした街です。なので、仏塔の時代は下ります。
まずはワット・アルン。バンコクでは初期、18世紀の寺院です。現役のお寺で、日本語に訳すと「暁の寺」ですが、夕暮れが最も美しいと言われているそうです。

塔はタイルで装飾されていて、すごく豪華。高さは約80m、やはり組積造です。形状はシュッとしています。ワット・プラシーサンペットも相当高く見えましたが、その倍です。ここはお墓ではなく、宇宙観の象徴、世界の中心にそびえる須弥山(しゅみせん)を表しているとのこと。部分的に何かを納めている空間はありそうでしたが、純粋に塔(工作物)ですね。そして階段は急峻で、降りるのが怖いです。民族衣装を着ていたので余計に。


次はワット・ポーです。こちらは仏塔よりも涅槃仏が際立ちます。やはりレンガ積みに漆喰を塗って作られたものですが、金箔仕上げです。高さも相当ありますが、その長さ46m。先ほどの塔の高さと比べると数字は控えめですが、礼拝堂(大仏殿とは呼ばないらしい)の中にあり、そんなに余裕のあるスペースではなく、全体が見えません!


で、肝心の仏塔ですが、40m級の大きな塔が4つも建っていたようです。涅槃仏が強烈だったからか、見覚えがないのです。境内にコンパクトながらタイルできれいに装飾されたものが多数あったのですが…。
王立の格式高い現役のお寺で、いろんなものに気をとられていたのかもしれません。ちょっと変わったポーズの仏さまたち、タイ式マッサージの発祥の地でもあり、コーヒーチェーン店(タイではスタバより多いそうです)まで。てんこ盛りです。ちなみにタイの人は、ものすごく甘いコーヒーを好むそうです。



仏塔は、これかな…。タイル張りで豪華です。瓦も色鮮やか。
最後はワット・パクナム。ここはこれまでの寺院と雰囲気が違います。建築物が密集していて、あまり見通しがききません。
街を歩いていたら上にちらっと大仏が見える、そんな境内に進入します。


そしてお待ちかね(?)の仏塔です。高さは80mあるそうです。これまでのとはずいぶん違いまして、四角錐。中にもしっかり入れます。というか、そこの上階にあるものがウリ。
靴置きが正面の屋外階段の脇にあったので、靴を脱ぎ、正面の階段を登ります。日差しが強く、踏み面は真夏の砂浜ばりにあっつあつです。つま先立ちで階段を駆け上がると、そこは2階。中はかなり広い何もない空間です。イベント等をするのでしょうか。
3階は、ショーケースに色々置いてありますが、本当にいろいろ置いてあります。いろんなサイズ、形の仏像もあるのですが、どうも寄進を受けた品々のようです。
まだあります。4階はきらびやかな仏像が並んでいます。金色の仏さまに赤じゅうたん。荘厳な雰囲気です。
で、おそらくメインの5階。中央に仏塔とドーム天井。独特の色使いです。

ここまできたら、この仏塔、建築物ではないとは言わせません。集会場のようなものがあり、礼拝所があり、様々な物品が陳列され…。でもまあ、用途は本堂ですかね。周りにびっしり建築物があり、他にも重要なお堂があるでしょうし、厳密に本堂なのかわかりませんが、通りすがりの旅行者なので大目に見てもらうこととしましょう。
おそらく鉄筋コンクリート造。免振層等はなさそうでした。日本なら耐火構造になりそうなので、竪穴区画は要ると思いますが、階段はオープンで1か所、排煙垂れ壁のようなものは見当たりません。

タイに滞在中、吹き抜け廻りが区画されているのは見かけなかったような。このあたり、考え方が違うのかもしれませんね。
入口まで戻ってくると、正面に大仏のお尻があります。見上げると、頭の高さは仏塔と同じくらいです。


並んでいる写真は遠くからしか撮れませんでしたが、ネットで検索してもらえばスケール感がおかしな空撮写真が出てきます。ぜひ見てみてください。
ちなみに、この仏塔は2015年に、大仏は2021年に完成と新しめの建造物です。私たちが参拝した部分はテーマパーク感すら漂いますが、お寺自体はアユタヤ王朝時代の17世紀ごろの創建で、先に紹介した寺院よりも早くからここにあったようです。
タイは上座部仏教の国。これらのお寺も、肌の露出が少ない服装でないといけませんとか、仏像の写真を撮るときは頭より低い位置からとかルールがあって、信仰心の厚い国なのだなと思っていました。鉄道の座席は、妊婦、高齢者、僧侶が優先という表示です。たまたま夜明け前にランニングしていると、町の一角にある廟の周りで民族衣装に纏った女子たちが合唱(?)しているところに遭遇したり。サワディカァ、コップンカァと合掌付きであいさつされると、こちらが微笑まされます。


一方で、町中を歩いているとインド料理、中華料理のお店が目につきます。インドっぽい人、ヒジャブを付けている人もそこそこいて、たまに僧侶が談笑しています。大都市なので当たり前なのでしょうね。仏教寺院なのに、どこかヒンドゥーな感じ(あくまで感じ)。だからか、こんなスポットもあります。ガネーシャはヒンドゥーの神様ですよね。

こんな感じで仏塔巡り(ではないのだけど)をしながら気になっていた、外国人には甘すぎると言われるタイのコーヒー。せっかくだからそのまま味わってみようと、滞在中に何度か挑んでいました。ところが、どうも私の声は聞き取りづらいらしく、なかなか思い通りの注文になりません。でも敢えてタイ語で頼んでみたりして、それで聞き返されるとこちらも分からなかったり、そんなやり取りを繰り返しながら、最終日、ようやく通じました。店員さんには「Really?」と、少し驚いたような、心配するような表情を向けられましたが、出てきたコーヒーは確かにすごく甘いけれど、とてもおいしい一杯でした。(A.N)
